94年6月　幽霊を撮ろうと思った。

除霊や祈祷を生業とし念力で勃起させる気功師兼AV女優の泉小春、レイプ男優兼気功マッサージ師でゲロを自在に操るポンプ宇野、その弟で宇宙人に拐われた経験を持つストロー宇野、極限マゾヒストで憑依体質の観念絵夢、単純にお化けみたいな容姿だからという理由で連れてきた久元大痴、下積み時代の井口昇(脱糞マン)。
これら+αの面子が墓場で馬鹿騒ぎしながらAV撮影をすれば本物の幽霊が撮れるのではないかという罰当たりドキュメンタリー。

幽霊に会ったらガンを飛ばすことを教訓に森の廃墟できもだめしオナニー、土砂崩れがあり何十名もの死者がでた墓場&防空壕でのセックス、みんなで墓石を囲んでの降霊術。
当時のハンディカムカメラによるローテクが故のおどろおどろしさ際立つ最凶のPOV。まさしく日本版『ブレア・ウィッチ・プロジェクト 』と呼べるし、むしろこちらの方が随分と先なのだから本家を名乗っても良いレベル。

締めは霊が憑依しなかった観念絵夢への罰として、井口昇の脱糞とポンプ宇野の嘔吐を顔面で受けさせ卒塔婆で尻をぶっ叩く。
カルト映画だ何だとわりと観てきたほうだと思ってたけども日本のAVが世界で一番ヤバいのかもしれない。確実に人にはお勧めできないゲテモノ。人間の生死も精子も一緒くた。

表現の自由とはこの事では？件のトリエンナーレの企画に出品されるべきだったのはこれだし、これこそが真のクールジャパンなのでは？ポンプ宇野の安心感が『新感染』のマ・ドンソクレベル、どうやら霊に対しては「ガン」を飛ばす事が有効らしい。幽霊を怒らせてその出現をカメラに収めようとするが、結局失敗してお気軽な墓荒らしへと化す終盤、井口昇にウンコを、宇野さんにゲロをかけられ、卒塔婆でケツをシバかれながらキャッキャとはしゃぐ観念絵夢がまるで少年の様に映る。どうにも納得のいかない様子の平野勝之は、わりかし真面目に観念さんを殺しにかかっているし、お前のせいで気が回らなく私の手がビリビリ痺れていると呂律の回らぬ様子の小春さんがオバケよりも怖い。そんな小春さんはどうやら赤鬼を見た事があるらしいし、平野ノラ以外で最初期型携帯使ってる人初めて見たかもしれない。2、30人が土砂崩れで生き埋めになった（？）らしい、まさに死の世界ど真ん中に掘られた謎の穴（防空壕？）の中で芸術的なSEXをかます観念さんがやはりMVPか、ご先祖様に感謝の意を捧げながら口内射精する久本大痴もいい線いっているが。霊は出ずども精は飛び、尺は足らねど夜は明ける、これぞ人が生き死ぬ業と欲にまみれた我等の世界の真理であろう、なんだこの言い知れぬ感動は…美しい…？

心霊ドキュメンタリーAVの元祖にして最高峰。墓場に響き渡る喘ぎ声は客観的に見たら幽霊よりも怖くてイカれてるし、朝焼けをバックに見るウンコとゲロは何故かあり得ないほど美しい。