ひこくろ

西北西のひこくろのレビュー・感想・評価

西北西(2015年製作の映画)
4.2
周囲に合わせるってことは、人に気を使えるってことでもある。
自分以外の人のことを考えて行動できる人間を否定する人は誰もいないだろう。
でも、そうすることで自分が否定されてしまうとしたらどうだろう。
それでも、自分を殺して人に合わせることは、本当に正しいことなのだろうか。

この映画の二人の主人公はどちらも普通でない自分を抱えている。
ケイはレズビアンだし、ナイマはイラン人だ。
周りに合わせられないどころではない。彼女たち同士ですらも相容れられない。
二人の姿からは、人と人は、根本的には、相手を受け入れられないものなのだと強く思わされる。
と同時に、相手を受け止めようとすることはできるのだという希望もまた抱かされる。
ナイマはレズビアンのケイのことを必死になって理解しようとする。
ケイはケイで、ナイマの日本人とは違う文化を受け入れようと努力する。
その二人の歩み寄りは、たとえようもなく尊い。

違っていてもいいのだ。納得できなくてもいいのだ。
ただ、否定しないでいること。そのままを受け止めること。
それがどんなに大切で、どんなに難しいことなのかを映画ははっきりと伝えている。
多様性という言葉が気安く使われてしまう現代にこそふさわしい映画だと思った。