shun

マグダラのマリアのshunのレビュー・感想・評価

マグダラのマリア(2018年製作の映画)
4.7
これはとても良かったです。
男性中心のカトリック教会などにより誤ったイメージが広まってしまったキリストの弟子、マグダラのマリアを主人公とした映画。

聖書内で彼女についての言及は12カ所ほどしか無いのですが聖母マリア以外では唯一の四福音書全てに登場する女性です。
この映画を観る前に彼女の登場する聖書の部分を読んでみましたが、よく言われるような「イエスの愛人であった」や「娼婦」であったという記述はどこにもない。
イエスの処刑を弟子たちの中でも最後まで見届け、復活したキリストが最初に姿を現した女性でもある。

この映画では彼女のイエス・キリストとの出会いから彼の処刑と復活が淡々と描かれます。
イタリアでロケされたようですが映像がとても美しいのに加え音楽と衣装デザインも素晴らしかった。

ラスト数分にこの映画が伝えたいことが詰まっていたのではないかと思います。
イエスによって物理的に「神の国」がもたらされ、圧政や世の不条理から解放されると信じる12使徒たちに対してマグダラのマリアは「変化は自分達から生まれる」と言う。
信仰を持つこととは神が全て解決してくれることを待つのではなく信じる力を広めより良い世界に向けて努力することなのだろう。

イエスの処刑によって希望を失った使徒たちにマリアが布教の重要性を語るシーンの力強さ、ルーニー・マーラが流石です。
聖書を読んで映画を観て、改めて彼女こそがイエス・キリストを一番理解していたのだろうと思った。
ホアキン・フェニックス×ルーニー・マーラは完璧なキャスティング。

2016年に教皇によって彼女の記念日が祝日とされたことで使徒たちと実質同格となったのは彼女が正しく理解されるための第一歩であると思う。

観賞日:4/19/2022
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