平和を祈るヒツジくん

アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男の平和を祈るヒツジくんのレビュー・感想・評価

4.6
LGBTが注目される前の作品なのにLGBT要素の濃い、ブルクハルト・クラウストナー演じるフリッツバウアー氏の哀愁漂う映画でした。おじいちゃんのドイツ語は非常に聞き取りやすかったです。ダンケ。

ホロコーストを主導したナチス関係者の1人で最重要指名手配犯アドルフ・アイヒマン。
彼が南米へ逃げたという手紙が届いてから検事長バウアー氏の戦いが始まる。彼の周りにはナチス残党が目を光らせており、彼を亡きものにしようと妨害を繰り返す。悩んだ末バウアー氏は「モサド」という禁じ手に頼る。
モサドはイスラエルの秘密警察。情け容赦が無く実行力の高さはFBIやCIAも度肝を抜くレベル。劇中アイヒマンをものの数秒で捕獲する早業はこっちも度肝を抜きました。モサド怖ぇ・・・

劇中バウアー氏本人の映像があったが、その中で森や山を誇ることが出来ない。自分たちが作ったものでは無いのだから。シラーやゲーテ、アインシュタインを誇ることも出来ない。彼らの業績は彼らのものだから。われわれが誇れるのはわれわれが行う善行だ』という言葉が印象的だった。傲慢なドイツに対する戒めの言葉であり、バウアー氏の孤独な信念が表れている。