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兵士A 七尾旅人のCのレビュー・感想・評価

兵士A 七尾旅人(2016年製作の映画)
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書いては消し、書き直し、また消しては文字を入力する指が止まる。なんて書いてもどう書いても、きっとこの作品のパワーは伝わりきらないと思うから。この作品を語れるほどの言葉をあたしは持っていない。ただ圧倒されては抉られた、正直しんどかった。旅人さんは全身で歌っていた。全身で表現していた。いつかの兵士Aを。いつかの未来の兵士Aを。ステージにいる旅人さんに、何かが、誰かが乗り移っているように思えてならなかった、あれは兵士Aだったのだろうか。あたしは殺伐とした空間と暴力的なまでの旅人さんとに恐怖すら感じた。
どこかの誰かの大事なひと、兵士A。彼は誰かの友達で、誰かの恋人で、誰かの息子。いつか奪われた大事ないのち、たくさんのいのち、たくさんの人生。みんな誰かの大切なひと。名前も知られず死んでゆくいのち。あたしは泣くことしか出来なかった。
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