けーはち

ソード・アーチャー 瞬殺の射法のけーはちのレビュー・感想・評価

3.4
英題「JUDGE ARCHER」で邦題「ソード・アーチャー」?……中華民国初期の軍閥時代に争いを裁く正義の武術家がいた、という中国武侠映画。画家あがりで武侠作家でもある徐浩峰監督が自らの小説を映画にしており、キマりにキマった陰影や色彩、構図、画と動きを前面に出して魅せたい所を存分に見せ「あとは原作読んどけ!」という行間の多さで、邦題つけた人もジャッジだのソードだのどうでも良くなったかね。ただ武侠というシンプルなジャンルゆえかミュージック・ビデオみたいな感じで何となく90分スルスル観られてしまうのだ。ワイヤー、跳躍、回転といった京劇的な華の一切ない足捌き・体重移動で倒すリアル志向のカンフーで、椅子に座り手を触れ合う距離からの太極・八極系の接近短打の組手(推手)、流れるような打・投・極の連携、棍や槍、弓、はたまた紐や椅子、手元の何かを使っての闘いがふんだんに盛り込まれる。個人の武術は所詮大きな力の前では無力だが、それはさておき達人の武術は美しい、という諦念の上の枯淡な美。