けーはち

イングロリアス・バスターズのけーはちのレビュー・感想・評価

4.2
もっとブラピ率いるユダヤ人部隊のバスターズがナチス殺しまくりのアクション多めの作風かと思っていたが、意外にもメラニー・ロラン演じるユダヤ人女性が全てを攫う格好。悪役のクリストフ・ヴァルツがユダヤ・ハンターとして終戦後の立場も見据えて狡猾に立ち回るのも印象的。英仏独の言語を跨ぐタランティーノらしい駄弁の中に、何の糸口から命のやり取りが始まるか知れない緊張感ある会話劇は終始好調。ナチス・ドイツの史実が下敷きゆえに重々しい始まりから大体の方向性は決まっているかと思いきや、驚くほど簡単に突然の死に襲われる登場人物たち。映画が国威発揚の道具となった歴史を、映画好きタラちゃんが振り返って、臆面もなく史実を脚色してクソ喰らえとフッ飛ばす展開は観るものの意表を突いて、軽すぎず重すぎずの痛快な復讐劇になっている。