JAmmyWAng

ちょっと今から仕事やめてくるのJAmmyWAngのネタバレレビュー・内容・結末

1.5

このレビューはネタバレを含みます

この映画で気持ちが救われる人がいるのならそれは冗談抜きに素晴らしい事なので、こんなゴミのような駄文には唾を吐きかけてなんかヤバい呪術とかも気兼ねなくかけて頂ければと思います。


自分も会社員ですし仕事は辛いのですが、幸いにして劇中のように劣悪な労働環境に置かれてはおりませんので、単純に自分の精神的疲弊の度合いが不足しているだけなのかもしれないけれど、とにかくこの映画が僕のそうした鬱積に対して何らかの救済になる事はありませんでした。

とにかく「ディテールの欠落」という点に尽きるという感じで、毎月残業150時間とかいうんだけど、言うだけで特に何の詳細も描かれないので同じ会社員としてはむしろ共感出来ないんですよ。
またクソ上司にスッゲー罵倒されたりしているんだけど、黒木華の件が始まるまでは罵倒に至る根本の描写、つまり実際にどんな仕事をしているのかが映し出されずにただ何らかの理由で罵倒されているだけなので、その理不尽さもどの程度理不尽なのかが心情としてよく分からないんですよ。

僕は「慢性的な精神の疲弊・消耗の累積」によって人は苦しんでいて、このような題材についてはその過程こそがきちんと描かれるべきモチーフであると思っていたのですけれども、それに対する詳細な描写はほとんど無いワケだし、むしろググって出て来たような「ブラック企業あるある」が表層的な現象として垂れ流されるだけだという印象を拭えず、「あの、本当に会社が辛い人の気持ちを分かろうとしてます?」と思ってしまう。少なくとも僕はそう思った。

また商材を持ってアポ無しでオフィスの受付にてキーパーソンを待ち構えるという手法を、半年通い詰めた商談先に勝負を仕掛ける意味合いで実行するという営業がきょうび本当に存在するんですかね?
しかもその状況で「必死で工場に頭を下げてこのサンプルを用意したんですよ~」とかいう押し付けがましい口上は果たして「熱意」なんですかね?

「そんな営業は存在するし、それは熱意である」という事なのであればしょうがないんですけど、でもそこに求められた共感に反応するような世の中なのであればそれはそれでヤバいと僕は思いますけれども。

現代的にとても重大な題材を扱うのに、そこに対して真摯に対峙するようなリアリティが欠如していたらもうハッキリ言って不快。

劇中における吉田鋼太郎風に言えば、「『なぜこの人は苦しむのか』という根本的な現実を丁寧に描こうともしないくせに、青空とかバヌアツとかで心象的なゴリ押しをしてんじゃねーよこのタコ!」と思うけど、こんな面倒臭い事を考えずに済むのなら僕はむしろ喜んでタコになりたい。ちょっと今から人間やめてくる。
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