daiyuuki

ちょっと今から仕事やめてくるのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.2
ブラック企業で働く青山隆(工藤阿須加)は、仕事のノルマが厳しく精神的に追い詰められていた。
疲労のあまり駅のホームで意識を失い、危うく電車に跳ねられそうになってしまう。 
すんでのところで青山を救ったのは、幼馴染みのヤマモト(福士蒼汰)と名乗る男。だが、青山には彼の記憶がまったく無かった。大阪弁でいつでも爽やかな笑顔をみせる謎の男、ヤマモトと出会ってからというもの、青山は本来の明るさを取り戻し、仕事の成績も次第に上がってゆく。そんなある日、青山がヤマモトについて調べると、何と3年前に自殺していたことが分かる。 
それではヤマモトと名乗る、あの男は一体何者なのか?一方、仕事のミスをなかなか挽回出来ず、青山に対するパワハラはどんどん過酷になり、追い詰められた青山を救ったのはヤマモトだった。ヤマモトが青山に思い出させてくれた「何のために働くのか?」「生きるとは?」、そして青山は、未来を決める重要な決断をする。
「長時間労働」「パワハラ」などの問題に向き合って働く人の共感を呼んだベストセラー小説が、映画化。
前半は、青山がブラック企業で働く中で、直接自分に責任がないのに怒られたり、仕事のミスに対して怒号や暴言を飛ばし人格攻撃するようなモラハラや納期の厳しいノルマを押し付け長時間サービス残業させるようなパワハラ、そして青山が憧れている先輩女性社員が青山にすら言えない仕事上の重圧や苦しみを通して、弱い者がさらに弱い者を叩く複雑なパワハラの厄介な構造や日本の労働環境の過酷さが睡眠や食欲不振になり心を削るリアル描写で伝わるし、ヤマモトの影響で見失いかけていた家族の大切さや本当に大事なものに気づく青山の変化と成長が描かれる後半、ヤマモトの正体が分かるクライマックスは、心が洗い流される爽やかな後味で、「何のために働くのか生きるのか?」を見失いがちな日本人が見るべき映画になっています。
青山を愚直に演じきる工藤阿須加の熱演、苦悩と闇を抱えた女性社員を演じた黒木華、何より少女漫画の映画でのクールな二枚目のイメージを破る明るくパワフルなヤマモトを演じた福士蒼汰の演技が、印象的。
「生きるって希望を持つことなんだよ」
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