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新感染 ファイナル・エクスプレスのVisorRobotのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

だいぶ面白かってんけど後半30分ちょっと蛇足感があった……かなあ。
そこまではほぼ完ぺきだった。
新幹線に乗ってから短時間で野球部、老婆、バス会社のおっさんなどのキャラを立てる手際。添乗員同士の関係性も「スカーフのゆがみを指摘する」という行為で見せつつ、その彼女が第一の列車内での感染者となるという流れ。そして、その間でマ・ドンソク夫婦を登場させ、主人公の娘と邂逅させることで関係性を強調する。
“こと”の発端と夫婦とのやり取りを同時帯に見せることで「こいつらが重要なんだな」と最短で観客は理解させられる。
そして、ここが重要なのだが、ゾンビものにありがちなゾンビを敵と認識するまでのダルいタイムラグがない。「どうせ攻撃するんやから」とこちらはイライラさせられるのだ。そこを「人間かどうかわからないものが襲ってきてるんだぞ!」というバス会社のおっさんのセリフで片づける。
そこからも息をつかせぬ展開。ずっと電車という密室の中で繰り広げられる話かと思っていたが、そんな甘いもんじゃなかった。
駅で軍隊に襲われ、もう後がないと悟ることで、主人公とマ・ドンソクのうすいバディ感が確かに生まれる。しいて言えば、野球部のクールなやつがとにかくモテてクールなやつということしか最初に描かれていなかったのでもう少しほかの部員との掛け合いとか欲しかったかもな。
だからこそ野球部車両での逡巡ももっと意味を持ったわけで。

で、なんやかんやあって、後半30分へ突入するわけだが、そこからが個人的には余計だった。もうあのままプサンに到着して、そこで最後の「アロハオエ」につなげる流れでいいんじゃないか? ばあさんが急に自滅に走る心理の流れがちょっとわかりづらい。
それに、ここまで物語をぐいぐい引っ張ってきたマ・ドンソクがもう死んでいるのでどうしてもキャラ的な魅力も薄まる。そこまで男どもの死にざまを見せなければならないのか。
おそらく最後の画が監督の頭に浮かんでいて、そこにつなげるために逆算してドラマを作り上げていったのだと思うが、俺には蛇足に感じられた。
でも、あそこでプサンについてめでたしめでたしではあまりにありきたりな気もするのは確かではある、が…。
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