千利休

新感染 ファイナル・エクスプレスの千利休のレビュー・感想・評価

4.5
個人的にゾンビ映画には満たしてほしい最低条件がいくつかある。まずゾンビ側に力があること(=人間側が不利な状況にあること)。次に一回でも噛まれたら即感染というサドンデス設定が徹底されていること。最後にゾンビの見た目が非現実的すぎないことだ。これらを満たしていることを前提に、緊急時での人間の醜悪さが描けていて、またヒューマンドラマ的側面も充実している(感染した恋人を捨てられず自分も感染するなどのエピソード)、あとは普段はそこまで重要視されないモノや役職が活躍するなどの要素があると面白い。そして本作シン・ゾンビことシン・カンセンはこれらを全て満たしている恐ろしい作品であった。

さて、実はB級ゾンビ映画が頗る苦手な私。ゾンビ映画史の名作たちですら網羅できていない。それでも本作はテン年代の、いやオールタイムでのゾンビ映画史のトップ作品であると言い切れる。きちんとゾンビ映画のしきたりを守ったうえで、いかにもハリウッド仕立てのド級ダイナミック作品がここに生まれているのだ。これは凄いとしか言いようがない。まさしくゾンビ映画の新境地であった!

※ちなみになんとも秀逸な邦題であるが、原題は『釜山行き』。

※アニメでの前日譚に続き続編が制作されているようだ。非常に楽しみである。
千利休

千利休