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エルネストのfilmaholicのレビュー・感想・評価

エルネスト(2017年製作の映画)
3.9
チェゲバラとカストロ、キューバ革命は知っていても、彼らを支持し共に戦った名もなき若者、勇者って名前さえも知らなかったけど、日系二世でボリビアからキューバに医学生として留学したフレディが、ゲバラに惹かれ、エルネストメディコ(エルネストチェゲバラのエルネストと医師という意味のメディコ)としてチームに加わり戦い抜いた人生を描かれたもの。
とてもすばらしかった。キューバで撮影、オダギリジョーはオールスペイン語、短髪にシャツインのさわやか好青年医学生も、ジャングルに入ってからのロン毛髭もじゃもじゃもどちらもほんと彼にしか無理だったと思う...
最初、1959年にゲバラが広島を、日本の大使に報告なしに訪問するとこから始まるんだけど、戦後10年ちょっとの広島にキューバから行くってすごいこと。距離もやけど、70年経ってから見ても凄まじいのにたった10年後の広島なんて見る勇気ない..あそこまで復興してたのもすごいし。資料館ももうあって、普段写真好きでカメラ持ち歩く彼が「撮る気にはなれなかった..」と。冒頭が実はグッときてる。
なぜ日本はアメリカに怒らないの?って..あんな人が当時の日本にいたら何か変わったかな、とか期待してしまう。
あとオダギリジョーさんが舞台挨拶でも話してたけど、ローソクからの「キューバ最高!アメリカ最低!」のストのシーンも...なんとも言えない気持ちになった。
舞台挨拶の時にまさかのマイク4本とも全滅で地声での話を聴くという前代未聞の。笑 集中力。
そんなマイクトラブルからも、キューバでは毎日トラブルや物資不足を感じることがあった、部屋の電気は消え、エレベーターが止まり閉じ込められ、そんな中でキューバスタッフ100人と日本スタッフ27人毎朝と終わりの挨拶の、ハグとキスを全員とすることで信頼しあって撮りきったと、日本でもこんなトラブルがあるんだとオダギリさんと笑って話すお二人を見て、だからこんなにいい映画が今出来上がったんだと痛感した!!
もちろんオダギリジョーさんのスペイン語ありき。セリフ覚えただけとかじゃなく、文法とか語学として勉強したうえで、感情を込めて身振り手振りの演技をプラスしないといけないからほんっとに大変だったと思う!周りと、トーンや声色が一緒で現地の言葉に聞こえた。ただ、個人的にはあまりに耳馴染みのない言葉で字幕読むのに必死だったとこもあるから、ちゃんと表情や周りの風景をもっとちゃんと見た上で、ひとりの青年の人生をまた知りたいなと思った。
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