りっく

ホワイト・バレットのりっくのレビュー・感想・評価

ホワイト・バレット(2016年製作の映画)
3.5
前半から中盤にかけてテンポが悪く、いかにも伏線張りましたという描写だらけでヤキモキしていたが、群像劇から映画的カタルシスが爆発する一点に集中させていく様は見事。本作に関してはそれが行き過ぎた地点まで到達しており、スローモーションによる銃撃戦をワンカットで捉えるという荒々しい力技で捻じ伏せる。同じジョニートー作品「スリ」の、雨中で横断歩道ですれ違う傘のシーンのカタルシスに近い。そこだけでも一見の価値あり。

ストーリーは粗がそこかしこに散らばっているものの、脱走癖があり鍵を集めまくる入院中の小太りのおじさんと、口笛を吹きながら追いかけっこをし、挙げ句の果てにはケツをナイフで刺されながらも歩き回るデブな刑事など、脇に至るまで個性的かつイイ顔の男たちが大集結。ジョニートーのノワール美学を最後の最後で炸裂させる、荒唐無稽なカタルシスに高揚させられる一作。
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