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スプリットのdeenityのレビュー・感想・評価

スプリット(2017年製作の映画)
3.5
※私はシャマラニストではありません。ただ単純に「23人格vs3人の女子高生」という文句に惹かれて鑑賞した者です。そのため、シャマラン監督がああだこうだは一切わからず、何なら『シックス・センス』や『ヴィジット』の監督だということもピンと来てないくらいでしたので、シンプルにスリラー映画としての感想となります。

まず、本作が良いか悪いかで言えば…普通です(笑)表現しづらいです。面白かったけどピンと来ない部分もあったりしたし、興奮する部分もあれば拍子抜けする部分もあったりして、複雑な感情。
だけど3.5以上の評価になったのは文句なしにジェームズ・マカヴォイの演技が素晴らしかったからです。23人格というのはさすがに大袈裟で限界があるわけですが、それでも見事な演じ分け、さらに終盤での瞬間的な豹変っぷりは感動の領域に達してますね。前半では衣装と変化と人格の変化が伴っていたため、視覚的に変化が明確でしたが、後半でのそれを覆す瞬間的な変化はまさに圧巻。カメラが変わるごとに表情で、声色で、言葉遣いで、別人格を表現する演技は文句のつけどころがないでしょう。

そしてそれを引き立てる終盤のカメラワークやBGM。密室に閉じ込められて脱走を図るという点で言えば『ドント・ブリーズ』なんかを彷彿とさせますが、瞬間沸点で言えば同等の緊張感がありました。まあそもそもその手の作品とはベクトルが違うと思うので単純に比較はできませんが、「23人格+1」という一抹の不安によって緊迫感がさらに煽られ、終盤の展開はかなりの興奮度でした。

さらに言えば、もう一人演技で引っ張っている役者がいました。女子高生の中のメインのキャラクターを演じたアーニャ・テイラージョイ。全く知らない女優さんでしたが、表情の演技はひしひしと感情が伝わってきてよかったです。

ただやっぱり不思議な所もいくつかあって。というか緊張させたいのか笑わせたいのか安心させたいのか複雑なシーンがいくつかあったんですよね。
それに人格によっては勝てるじゃん、とか逃げれるじゃんとか思ったり、そもそも23人格って謳わなくても十分数役の人格の変化ですごいんだからそこまで大袈裟にしなくてよかったんじゃないのかって思ったり。だって当然だけど全部が全部出てきたわけではないわけだし。

シャマラニストと言われる人がいるくらい名監督なのだから、この辺りがしっくり来ないのは単に脚本上のミスというよりはシャマラン監督を知らないからなのかもしれないけれど、とりあえず過去作のシャマラン作品は見直す必要がありそうです(笑)
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