Miver2

WE ARE XのMiver2のレビュー・感想・評価

WE ARE X(2016年製作の映画)
4.7
まず最初に正直に言うと別に特にファンでもない。
hideのソロは好きでよく聴いてたけど、X JAPANのCD買って聴いた事がない。
テレビとかで見る分には良いかなって感じだけど。
今回は懸賞で鑑賞券が当たったので、それを利用しての鑑賞。
とても観応えのある96分、あっという間で面白かったこの作品。

バンドの歴史とYOSHIKIの生い立ちを交えながら、テンポ良く丁寧に物語が綴られて行く。
十字架を背負わされるかのようなその運命は壮絶で、そこから漂う死の香り。
生と死は背中合わせで、痛みや悲しみが拡がる闇を思いっきり突き抜けて行くかのような激しさに、心をしっかりと掴まれた。

YOSHIKIの生い立ちと語られて行くその出来事は、とても悲しくてやり切れなくて。
でもそこを突き抜けて行く姿と、その凄さに釘付けにならずにはいられなくなる。
そしてバンドが昇り詰めて行くその過程は新たな価値観を創り出しながら、絶対的な存在感を示すその姿は最高にカッコ良かったな。
初期のライブシーンの有無を言わさぬ圧倒的なエネルギーと凄まじさは観ていてとても楽しかった。
その凄さに思わず痺れたりしつつ。

でも登り詰めたその先で迎える破綻や別れには言葉を失うしかなかった。
突然やって来るその出来事は、やるせなさと悲しみと憤りが入り混じるかのように。
壮絶な出来事の数々から産まれて行くドラマはとても真っ直ぐに、その時の感情をしっかりと作品に焼き付けるかのようで。
痛みとやるせなさを伴いながら、それでも生きて行くその過酷さと、いきなりやって来る死の悲しみには言葉を失うしかなかったな…。

TAIJIの脱退エピソードとその後の死、そしてhideの死、TOSHIの洗脳が語られて行く過程には思わず泣かずにはいられなかった。 
様々な想いが交差する中で、それぞれが葛藤する姿と鬩ぎ合う壮絶さは、まるで蟻地獄のようで。
それでも生きなくてはならないから、希望と未来を見出そうとするその姿は痛々しくもあった。
だからこそ、釘付けにならずにはいられない。
そして今の編成で再び動き出し、新たな幕が上がるその光景は有無を言わさぬ圧倒的な凄さを感じる事が出来た。

世界各国の人達がX JAPANに熱狂する姿は音楽が人や世界を繋いで行く凄さを改めて実感する。
その瞬間、X JAPANの現在の凄さが現れていたような気がした。
壮絶な歴史を敢えて描き出す事で、またここから始まるあの感じ。
ある種、マイナスから0地点に戻ると言えば良いのだろうか。
過去の歴史は清算出来ないけど、それを背負いながら未来を突き抜けて行くのは間違いと思うので、その先がもっと観たくなる。
あの終わり方がまたとても深い余韻をしっかりと残してくれるから好き。

映画を観終わって、観る前は高いなと思っていたパンフレットを速攻で買い、タワレコへ向かい速攻サントラ盤も買った。
それ位、文句無しに素晴らしい作品だった。

X JAPANのドキュメンタリー作品だけど、人には歴史があり、物語がある。
その部分をしっかりと感じられたら、より楽しめる作品だと思います。
観て本当に良かった。
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