nana

一晩中のnanaのレビュー・感想・評価

一晩中(1982年製作の映画)
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『ジャンヌ・ディエルマン~』の舞台でもあったベルギーのブリュッセル。
アケルマンが生まれた地でもあるこの場所のとある一晩を切り取った物語。

多くの人が寝静まった夜ですが、靴音、電話のベルの音、環境音が印象的に鳴り響きます。
恋人に会いに行く者、バーで踊る者、会話を重ねる夫婦。
さまざまな人間模様が描かれています。
この作品には非常に多くの男女が出てきますが、映画という限られた時間の中でそこに生きる人々を淡々と映している点はやはり『ジャンヌ・ディエルマン~』と共通するところがあります。
ジム・ジャームッシュがこの作品をお気に入りに挙げているようですが、彼ならもっと彼らの会話にオフビートなユーモアを加えそうな感じ。

同時に立ち上がる男と女。
同時に同じ方向に倒れるグラス。
ほとんど影で隠れてしまって映らない顔。
すべてが計算され尽くしたような、でも偶然のようにも思えるような数々のショットが頭からしばらく離れません。
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