さよこ

ドリームのさよこのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.8
【1ミリ先の未来のために】

1960年代、アパルトヘイト政策の時代にNASAで活躍した黒人女性3人の物語。

脚本と演出ですごく良いな、て思ったのはNASAの黒人女性3人を、ただの仲良しこよし組として描かなかったこと。同じ部署なのは最初だけで、それぞれの道を歩いていく。

理不尽な妨害にあって荒れる一人に対して「今日はあなたの愚痴を聞きに来たんじゃない」とピシャリ。かと思えば明け方まで作業してるメンバーを黙って駐車場で待ってたり。決して甘やかさず、無駄に褒め合わず、つかず離れずの自立した関係性が、すごく良い。

誰かが一足先に夢に一歩近づくと、それに刺激を受けて自分も頑張ろうとさらに邁進する。

「黒人だから」「女性だから」「前例がないから」…あらゆる理由をつけては前に進ませない人たち。これって似たようなケース、今の社会でもあるんじゃないかな。年齢とか、国籍とか、派閥とか。今、なにかにうまくいかなくて踏ん張ってる人たちにぜひ観てほしい。自分の悩んでることは、絶対に解決できる方法があるんだ、てことに気付けるはずだから。

決して最初から活躍していたわけではなく、トントン拍子に進んだわけじゃない。長い時間をかけて1ミリずつ進んできた彼女たち。その誰も進んだことのない1ミリをこうして語り継がれていることが、なぜかこんなにも誇らしい。

あと、60年代のモータウン系の音楽もすごくツボ!サントラ買おうかな。
さよこ

さよこ