クシーくん

メアリー女王の処刑/女王メアリの処刑/スコットランド女王、メアリーの処刑のクシーくんのレビュー・感想・評価

3.0
filmarksには1分とあるが、実際は20秒にも満たない作品だった。エジソン社制作の覗きからくり的なピープ・ショー用に作られたものらしい。悪趣味だな。メリエスの魔術的作品群がそうだったように、映画の初期は手品やサーカス的な見世物の延長線だったことが窺える。

この作品が作られたのは1895年。英国最後の公開処刑は1868年、アメリカでは1936年に行われた。とは言っても、そうそう見られるような物でもなくなっていた当時、映像で誰でも見られる「処刑」は人々に恐怖を与えるには十分過ぎるくらいだったろう。実際撮影技術の基礎知識に乏しい当時人からすると、かなり真に迫るリアリティがあっただろう。ただそれと分かった上で見るとどこで人形とすり替えたかカメラが切り替わったのが丸わかりで、とにかく観客を怖がらせてやりたいという製作者の思惑が透けてちょっと可愛らしさすら感じた。

あと全然関係ないがモンティパイソンの初期に「スコットランド女王メアリーの死」というスケッチがあったのを思い出した。オバチャンに扮したジョンとグレアムがソファに座ってラジオに耳を傾けている。ラジオから流れるのはドラマ「女王メアリーの死」第一話。「貴様がメアリーか?」「そうよ」という会話の後、メアリーをボコボコ殴る物音と、メアリーの断末魔(恐らく、声:グレアム)が流れるだけという下らない内容で爆笑した憶えがある。
クシーくん

クシーくん