ロアー

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 アルティメット・エディションのロアーのレビュー・感想・評価

3.7
「ザ・フラッシュ」鑑賞に向けて、改めてアルティメット版で「BvS」を観ました。改めてと言いつつ、アルティメット版のディスクを買ったきり全く観ていなかったので、このバージョンとしては初の鑑賞です。

追加シーンによって説明不足が多少緩和されたせいか、劇場で観た時ほど残念な印象はありませんでした(諦めがついたともいう)。
冷静に観たら作品としては全然悪くなかったんだけど、多分、監督好みのヒーロー解釈が完全に世界のニーズとズレてたせいで、ゴールデン・ラズベリーを食らっちゃったんじゃないかと思いました。

ヒーローと言えど人間なので(異星人もいるけど)、間違えるし悩むし、時には私情に走ってしまったりもする。スナイダー印のDC作品では、スーパーマンを神のような存在として強調しつつ地面に叩き落そうとしてるし、バットマンも一歩間違えばヴィランになっていたものの、怒りの方向が悪人に向いたので何とかヴィジランテ側になってるトラウマ精神病者のような描かれ方をしていて、すごく人間的で、、、いや、確かにそうなんだけど、特にバッツなんて公式設定でまんまトラウマ抱えて病んでる人なんだけど、、、でもさ、違うじゃん。やっぱヒーローとしてのかっこいい面を見せて欲しかったじゃん!そこなんだよ!!って思いました。

ガル姐さんが美人でかっこよくて大好きだから、初見の時にWWだけやけに素敵に見えたのかと思ったけど、多分、他が全員病んだ人たちでめちゃくちゃ暗かったから余計に輝いて見えたんだろうな。
ずっとずっと暗くてシリアスで、全然息抜きのできないテンションで3時間というのも良くない。

なんていうか、監督の好きなヒーロー像って、ある程度極めた玄人の特殊性癖感があるような気がする。てかこの映画も、私情ありありで独自の価値観のヴィジランテをやってる「ウォッチメン」とまんま同じ要素じゃない?と今更気づいてしまって、それをDC大看板のスーパーマンとバットマンが初めて対決するという、本来エンタメ性を求められるであろう映画でやっちゃったのかという気づきに衝撃を受けました。

先行してMCUが始まっちゃってたのも不幸。
MCUはその辺をめちゃくちゃうまくやってて、フェイズ1ではヒーローのバックグラウンドを描くだけのヒーロー紹介程度に留めていて、そこから段階を踏んで深堀りしていたから置いて行かれずに済んだけど、監督は多分、MCUならフェイズ3あたりの内容をいきなりやっちゃってるよね。

DCの方がずっと前から代表キャラのヒーロー映画をたくさん作っていて、すでにフェイズ1の部分は既出な訳だから焼き直ししても仕様がないし、こうならざるを得なかった気もする。
でも、今後「ジャスティス・リーグ」に繋げて行くと決まっていたなら、監督の描き方は悪手だった気がするし、MCUのノリを期待する世の中でなければここまで否定されなかった気もするし、DCらしい世界観と言えばこれで正解な気もするし、でも、でも・・・

って、これは果たして映画の感想っていうのかな?むしろ分析???

ただ、今回の分析?でスナイダー監督もやっかいでコアなオタクであるという認識が生まれて親近感がわいてきたし、DCEUというよりスナイダー・エルス・ワールドだと思えば理解もできて、折り合いの悪さにおいては和解できそうです。

でもさ、みんなさらっと「ブルース」と呼んでいて、当たり前のように正体を知っている情緒と様式美のなさだけはやっぱり許せない。
ロアー

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