健多郎

GODZILLA 怪獣惑星の健多郎のレビュー・感想・評価

GODZILLA 怪獣惑星(2017年製作の映画)
2.5
地球を取り戻すはなし

非常に評価しづらいですね
独立した一本のSF作品として観るか、ゴジラシリーズとして観るか
まずは独立したSF作品として観た場合の感想を

地球が怪獣に支配され、脱出した数少ない人類が2万年後の地球に帰還してみるとそこは…という導入部は、独創的とは言い難いもののシンプルに引き込まれる内容であり面白いです
核攻撃でも倒せなかった怪獣を研究とマンパワーで倒そうと画策する展開も良い
怪獣に対抗する人類チームが地球人だけでなく3種族からなる異星間チームというのも、宗教観などで物語に幅が生まれており良いと思います
種族の外見特徴はもっとスタートレックみたいに分かりやすく変えても良かったとは思いますけどね
次作への引きも、遺跡化したメカゴジラを人類が眺める次作メインビジュアルもワクワク感があって期待できます
スコアとしては4.0点くらいですね

では次に、ゴジラシリーズとして観た場合の感想を

なんでこれに「ゴジラ」という伝統ある名前を冠してしまったんですかね?
前者で褒めた2万年後の地球という要素があまりにも大きな足枷になっています
当然のように地球上の文明はほぼ完全に崩壊し、地球での全シーンが森林とそこに面した狭い平地で展開しています
その為、せっかくゴジラが登場しても比較物が全く無いのです
もちろん樹木はあるのですが、御丁寧にも劇中で「地球の植生が大きく変わっている」と説明されているので樹木のサイズを想像しようがありません
登場人物の反応からかなり巨大だという程度には分かりますが、国会議事堂と、大阪城と、東京タワーと並び立ったゴジラを観た時のような恐怖や畏怖には遠く及びません
というか、そんな感情全く沸いてきません
だって存在をこれっぽちも実感できないんだもん
この点については悪名高いエメリッヒゴジラにすら劣りますよ
もしかしたらエメリッヒゴジラと同じで元々は全く別作品の企画、もしくはオリジナルの企画として開始させたのを会社の都合でゴジラに変更させたんですかね?
などと、邪推すらしてしまいます

巨大特撮(本作はアニメですがあえて特撮と書きます)において、巨大怪獣や巨大ヒーローのスケール感と存在感というものは本当に重要なんですよ
巨大物をアオリで撮影したり、巨大物と大きさを想像できる比較物を俯瞰でじっくり撮影するシーンなどは本作でもあって然るべきなんですが、本作にはほぼ無いです
実写でなくアニメであってもこの手法でスケール感を出すことが可能であることは、「帰ってきたウルトラマン」等に多大な影響を受けて製作されたエヴァンゲリオンが証明していますので、実写じゃないからやれなかったは言い訳になりません

ゴジラのテーマ等のゴジラを代表する楽曲が使用されていないのも残念
3部作のここぞという場面で効果的に使いたいのかもしれませんが、1作目にあたる本作も間違いなく「ここぞ」の場面だと思いますし、ツカミとしてもあって良かったと思うんですよね…
帰還部隊の前にゴジラが姿を現すシーンでテーマが流れるだけでもかなり印象が違ったはずです
ゴジラシリーズとしてのスコアはギリギリ1.5点ある程度ですね

スタン・ハンセンのボディスラムばりに上げて落とすレビューになってしまいましたが、次作が楽しみなのは本心です
サブタイトルに「都市」とあるので比較物の登場にも期待できますし、メインビジュアルとなっているメカゴジラがゴジラに逆襲することが出来るかどうかも楽しみですね
健多郎

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