メモ魔

傷物語Ⅲ 冷血篇のメモ魔のレビュー・感想・評価

傷物語Ⅲ 冷血篇(2017年製作の映画)
3.7
新しい表現や戦闘人の迫力とそれに挟まれるギャグ音声は見てて楽しかったけど、人として何かを得るために見る作品ではない。
あくまで物語シリーズの一つであり、その完成度は他と変わらないことを頭に入れておくべきだ。
ただこの作品を見た後に400年前の眷属の話を見たらちょっと見方が変わって面白いかもしれない。

最後の冷血編だけは内容が少しあった。
考えさせられたのはここの場面。

可愛らしい猫がネズミを捕食する姿を見て幻滅するのと同じだ。
それでも飼い主がその猫の喉を切り、爪を切り、去勢し、飼い続けることに決めたのと同じだ。
君がしたのはそうゆうことだよ。

阿良々木暦はキスショットのヴァンプとしての側面を見ないまま2週間共に過ごした。
友情が芽生えようとしたその時、キスショットが人間を喰う現場を目撃した。
幻滅と後悔(自分が人類の脅威を助けてしまった)、そして最後はそれでも彼女を生かし殺し続けようと決意する阿良々木暦。

まとめるとこんな感じの話。

自分が好きなものって自分が手を加えてない状態だからこそ好きたり得ると思うんよね。
好きな子いるとするやん?付き合うやん?んでその子の悪い所とか沢山見つかってくるやん。
でもその悪い所も含めてその人本人が好きなわけで、自分からその悪い所まで指摘してその人本人を曲げてしまうのは本末転倒なんよね。
その悪い所の幻滅を相手に押しつけて、相手が嫌がるのも拒み自分で矯正し思い通りに勝手に生かす。これが正か負かなんて誰にもわからないけど、少なくとも阿良々木暦は自分の思い通りにキスショットを矯正し生かしながら殺し続けることを選んだわけだ。
そんなお互いの理想が全て食い違う中で食い違ったまま事が終わった傷物語。
その後の彼らがどう人生を歩んでいくのかを知ってるこっちからすると、阿良々木はキスショットに[死を隣に置くことで生を実感させ充実のままに殺してやりたい]
って思いの元助けたんじゃないかって思う。

とまあ考察はこんな感じで、、
この物語シリーズ上手くできてるよな。
公開時系列の後ろを見れば見るほど前の作品をもう一回見れば新しい発見があるように作られてる。すげぇ商法だよ。

総括
冷血編は考えさせられるシーンが後半に数点あったため考察も少しできて面白かった。
新房昭之監督の表現技法も斬新で(連続で見ない限りは)楽しく見れた。
がやはり内容が薄すぎる。感情がキャラクターに追いつかないことが多い。
羽川さんなんでそこまで阿良々木に尽くすのか結局分からなかった。
映像が高画質でいかに目を引くものがあっても感情や頭を刺激する作品でないと終始眠くなっちゃうんだなってのを気づかせてくれた作品。
3.7点
メモ魔

メモ魔