「こうなると思った」
「分かっていたけど、しょうがねぇ。」
ラストシーンで流れるセリフだが、
「しょうがねぇ」の一言があまりにも虚しく響く、救いようのない全滅型ストーリー。
韓国ノワール系の作品としては、前半はやや緩い感もあるが、それを取り戻すかのようなクライマックスは壮絶。
拳銃以外にお決まりの鉈や斧も登場する。
守るものが大事であればあるほど、時には悪に屈しなければならない。
仕方ないことは分かっているが、この遣る瀬無さを抑えるのはしんどい。
ただ、一つの僅かな救いは・・・
これ以上はこれから観る方のために書けない。
キャストでは「哭声-コクソン」の主役であったクァク・ドウォンと祈祷師の怪演をしたファン・ジョンミンに注目をしていたが、両者とも同作品のキーマンとして、期待を裏切らない存在感いっぱいの演技で満足。
特にファン・ジョンミンは「笑顔いっぱい、腹の中真っ黒け」と言う市長役を見事に演じていた。
一方、主人公であるチョン・ウソンは全く知らなかった俳優ではあるが、2つの大きな権力に翻弄され、揺れ動く汚職刑事の心情を見事に演じていた。
また、ラストに近いガラスのコップを噛み砕くシーンは圧巻。
「争い」と言う「修羅」の世界に住むのが「阿修羅（アシュラ ）」だが、まさに争いの負の連鎖から抜け出せない「阿修羅達」を描いたタイトル通りの作品だった。
