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否定と肯定のhymasuminのレビュー・感想・評価

否定と肯定(2016年製作の映画)
4.0
アウシュビッツ収容所という歴史の証人があるのにホロコーストはなかったと言い切ったヒトラー信奉者に対して嘘つきと指摘した人が名誉毀損で訴えられ、裁判で判決が出るまでの事実に基づいた話。

1990年代の終わりの出来事。その当時はすでにアウシュビッツは保存公開され、疑いようのない歴史の跡が残されているにもかかわらず、ホロコーストを認めないアーヴィングを見ていて、ヒトラーの、ナチスの罪の深さを思う。

英国人らによる大弁護団の、裁判に勝つための緻密な戦略は見ていて感嘆する。ただ正しさだけを訴えても勝てる保証はなく、アウシュビッツからの生存者の証言を出してもアーヴィングなりの解釈を繰り広げられれば勝てないだけでなく、証言者を傷つけることになりかねない。
法廷ものの映画として、実際の裁判の長い時間を110分に凝縮させながら観る人に正しくわかりやすく伝えた、優れた映画だと思う。

あと、
いつも思うんだけど、どうしてわざわざこんな邦題にしたのかな、
denialの原題のまま、シンプルに「否定」で良かったんじゃないか..
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