ぽんぬふ

牝猫たちのぽんぬふのレビュー・感想・評価

牝猫たち(2016年製作の映画)
4.1
冒頭のショットから終幕までこれでもかと映されるレンズフレアは人工的かつ増幅された光で、池袋の街やPCの光などはやりすぎなくらいこのイメージで撮られ、そのイメージからインターネットに繋がっていって話が動いていく。それと対比されるのが太陽の光で、この2つの光が夜と昼、虚飾と本性のようなイメージで存在する。しかし実際はそんなに単純ではなく、女たちの虚飾性は縄によって解放されるが、その縛られることで解放されるという倒錯が暗示する通り、終盤の2人の女の太陽の光のもとでのセックスも、あくまで売り手と客の関係から束の間発展しただけで、日が落ちれば消えてしまう儚い瞬間の輝きであり、女は夜に戻っていく。2度ある夜の池袋を歩くロングショットがすごく良かった。1度目は1人で、2度目は2人→1人で。2度目の時の会話の、戦友のような清々しさ。
でその2人はいいんだけど、男の子のことを思うといたたまれない。池袋の街のネオンに目を輝かせていた彼は、この世界が虚構だと思わないことには生きていくのも難しいのではないか。
レンズフレアやりすぎ、カメラ揺れすぎと思わなくもない時もあるけど、とにかく90分切ってこれなら大満足。
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