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牝猫たちのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

牝猫たち(2016年製作の映画)
4.3
池袋の風俗店「極楽若奥様」で働く3匹の“牝猫たち"。 
彼女たちは、互いを店の名前で呼び合うだけで本名も、ここで働く理由も知らない。ネットカフェ難民の雅子(井端珠里)、シングルマザーの由依(真上さつき)、不妊症が原因で旦那に浮気された里枝(美知枝)、それぞれの悩みを抱えた牝猫たちは、都会の中で孤独を感じながら、好きでもない客を前に素肌をさらす。いつまで続くかわからないその生活に、愛を探しながら、颯爽と逞しく生きていく女たち。夜街にさまよう女と男が体を重ね、また夜があける―。 
「凶悪」「日本で一番悪い奴ら」で欲望と生命力に溢れたアウトローの男の生きざまを生き生きと描いた白石和彌が、「牝猫たちの夜」にオマージュを捧げながら、夜を逞しく生きる女たちの生きざまを描いた傑作ヒューマンドラマ映画。
逞しく夜を生きながらもネットに書き込みをするのが生き甲斐の男の客に惹かれたり、自分に好意を持ちながら曖昧な立ち位置でしか接してこない男の態度に苛立ったり、妻をガンで亡くした男に情を感じてしまい立ち位置を越えた関係に踏み込んでしまったり、子供を虐待したり、自分の歩く道が依る辺のないものと分かっていても、逞しく夜を往きながら頼りない温もりや愛を探し生きる女たちの逞しさや真っ直ぐな性根が、印象的です。
特に、お客に対してはビジネスライクに接していけるが、ネットの書き込みを巧みにあおって炎上させることが生き甲斐で人間関係も踏み込んでぶつかり合えない高木に対して真っ直ぐ自分の気持ちをぶつける雅子の真っ直ぐな性根、自分が勤めている店の店長や店に損害を与えた運転手の堀切に対しての雅子の逞しいしたたかさ、必要とされていることに悦びを感じ立ち位置を越えた行動に出てしまう里枝の愚直さが、リアルで印象的です。
「お願いだからちゃんと真っ直ぐ傷つけて」
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