ひな

君の名前で僕を呼んでのひなのネタバレレビュー・内容・結末

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

オリヴァーとエリオが名前を呼び合うシーンがラストでよかった。残りの20分はエピローグ、裏話を見ているようで、それはそれで良かったけれど、あくまでハッピーエンドで終わって欲しかった。
もちろん、彼らがハッピーエンドにならないことはわかっている。だからこそ、物語はそこで終わらせて、視聴者自身が残りの20分を委ね、ゆとりを持たせても良かった。語りすぎたように思う。説明しすぎる映画はつまらない。カタルシス。

アプリコットが、彼らの恋を象徴するように描かれていた。アプリコットの語源は、"未熟"、"早熟"。暑さに従うように熟していき、旬が終わり、熱が引けば落ちて枯れる。

オリヴァーとエルオの最後の電話。エルオ、エルオ、エルオ、エルオと繰り返すのに対して、オリヴァーは一回、自分の名前を言い、「忘れたりはしない」。エルオは現在の話をしているのに、オリヴァーにとって過去、忘れてしまうのが当たり前かのように言うから。ほんとうにおわりなのだ、と思って、エンドロールだった。

オリヴァーとエルオも、「愛してる」の一言を言わず、愛を語っているのが、演出?脚本?の凄み。特に、「あなたに知ってほしいと思うから」「あなただけにしか言えないから」とエルオがさぐるように尋ねるシーンが可愛い。「君の名前で僕を呼んで」なんて、その最高潮で。


世間がティモシー・シャラメに恋しちゃうわけです。体を委ねるようにキスするのが、素直な疑問をぶつける表情があどけなく、気づけばティモシーを目で追っている。

2人の禁断の愛の話かと思ってみれば、
親子の物語でもあり、父の告白からもう一つのストーリーが浮かび上がるようだった。
お父さんは2人を通して、過去と向き合い、いつの日の夏を昇華したのだと思う。
あと、奥さんはすべて知ってるとわたしは思う。
はじめにラスト20分はいらないと言ったけど、なるほど、2人のラブストーリーとしてだけみると蛇足で、しかし親子の話を浮かびあげるためには必要なものだった。
ひな

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