ヴぇる

君の名前で僕を呼んでのヴぇるのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.1
正直自分には全く合わない作品だと思っており、気付けば公開から何年も経っていた。そしてなんとなく気分で視聴を始めたがネガティブな気持ちはたった10分で消え去り、最後まで見終わると同時に当時劇場へ足を運ばなかった自分を殴りたい気分になった。

物語としては悲恋で終わる。これに尽きるシンプルなものだと思うが、ディテールが繊細で正に映画的な雰囲気を醸し出している。
舞台を邪魔しない軽い音響に素晴らしい街並みのおかげで当時のイタリアにどっぷりと浸れることが出来るし、詩的表現の言葉の数々が別世界へ連れて行ってくれるようだ。また、静かめな演技やアングルで伝わる若さや苛立ちを感じさせてくれるのも好感が持てる。加えて云えば助長的なところはなくテンポが良く中弛みが無いと言える。前述の通りストーリーはシンプルなものであるから、退屈さを感じさせたないのは見事の一言だ。

ただ、不満があるとすれば内面に大きく干渉しなかった所や成長が無かったところ。また相手の男に強くフォーカスが合わなかったところが残念でもある。

総評としては、LGBTQの作品が近年評価を受けているしハリウッドの流行ではあるが、今作はそのジャンルの中でもトップだろう。
この題材出なければこの雰囲気を出す事は出来なかっただろうし、少し違うが『ニューシネマパラダイス』に感じる所があった。というか、傑作と似た雰囲気を感じた時点で今作も傑作といえる。
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