苦しくて美しい話でした
人生において、どうにでもできないことは誰にもでも起こりうることで、今回は2人の行く末がどうにもできないことでした。
その時代(1983年のイタリアが舞台)の考え方もあって、どうにでもできないことで
でも、きっと、そのどうにでもできないながらに(エレオはわかっていなかったかもしれないが、オリヴァーはわかってた)、過ごした2人の数週間は人生のふとした瞬間に美しい思い出として思い出す時間になったと思います。
この映画はそういった点においても、ある程度経験した大人に響く作品だと思います
日本の映画ではあまり見られないような脚色が散りばめられていました(といっても、そんなに多くの邦画を見てきた訳では無いので、だいぶ偏りがある感想になるかも?笑)
日本はすぐに話が始まるが、彫刻の写真が散りばめられてる
冒頭の教授とオリヴァーがアプリコットの語源に関して、議論するシーン。
語源の話をあのぐらいの尺でとってる映画は見たことがなかった
このアプリコットの早熟も、主人公であるエリオを指してるのかなと思ったから、あそこまでスポットをあげたのだろう
そして、ティモシーシャラメの演技が素晴らしい
彼の目の動きに感情を重ねて、彼と一緒に苦しくなった
目は口ほどに物を言う、とはまさにこの事
オリヴァーをメインというよりは、エリオの感情をメインでストーリーが進む中で、エリオがオリヴァーに惹かれたのかがはっきりと分からなかったが、それこそ、この時期の青少年から青年へ変わっていくエリオの溢れんばかりの色々な感情、ごちゃ混ぜな感情を表しているのかなと思った
(最初はオリヴァーを敵視していたが、それは好意からの敵視であって、それを自分で認めて〜、、)
人が人を好きになる理由はその人にしか分からないのだと、感じさせてくれた
フランスの16世紀の本を読むシーンでは、既に両親が彼の変化に気づき、それを包み込む家族愛が描かれており、そのフランスの本の話から、その時代ではまだ浸透していない同性愛への話に持っていく脚本が素晴らしい
何度もスポットを当てられる果樹になる果物を見ると、アダムとイブが掠める
また、エリオの象徴でもある音楽、ピアノが流れてくるのもよかった
最初から最後まで通じて、特に2人でエリオのお気に入りの場所へ自転車で行く時、フィルムで撮ったような画質が、あの淡い感じが1983のイタリアを感じる
あと、女性も男性もみんなスモーカーなのがイタリアだなあと
最後の2人でバスに乗るシーンで、mystery of loveで号泣しました
この先がじわじわとわかり始めたこのタイミングでこの曲が流れてきて。
ここでも比較ですが、近年、日本の映画の主題歌は1番最後のエンディングで流れることが多いですが、1番いいタイミングで流されるのはこんなにも心を揺さぶり、そのシーンを思い出させるのだなと思いました
季節と年月が進み、オリヴァーからの電話で、最後に自分の名前で相手を呼んでいるシーンで、本当に最後のお別れなのだなと感じ、ここで、どうにでもできないことへの折り合いをつける2人に苦しくなり、愛を感じ、美しさを感じ
エンディングもよかった
性描写も含めての愛で、この映画なので、この映画には必要だなとは思いつつ、苦手な私はその部分だけスキップしてみました
(サブスクで見れてよかった)