Aika

君の名前で僕を呼んでのAikaのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.7
初めて目があったとき
こころに小さな波紋が広がった

その波紋はいつしか幾重にも広がり
救いようのないほど恋に落ちていた
衝動を抑えることができなくて
乾いた喉が青いソーダを欲した

同性でも異性でも関係ない
ただ君が君で
ただ僕が僕で
この瞬間だった

君は僕の半身だ
僕は君の半身だ

だから
君の名前で僕を呼んで



初めて裸足を重ねたこそばゆさ
あの特別な桃の味
ブルーのシャツに残った匂い
飛び込んだ川の冷たさ
寝転がった青草が肌にささる感覚まで伝わってくるようで
自分でも驚くほど全てが琴線に触れてしまい
ふたりが見つめ合うだけで
切なさで胸がつまって涙が止まらなかった

ふたりに重ねるいつかの恋があって
ヘドウィグからのプラトンの影響も受けて
私は今の自分があると思っている
偉そうだけどお節介だけど
その渇望があるから成長できるし
その傷があるから強くなれる
そうエリオに言いたい

お父さんの一言一言は
額縁に入れて飾りたいくらい
お母さんはきっと知っていると思うから
あの両親はすごい
強くて柔軟で優しい

エリオの頭の中で流れているものを
そのまま聴いているようなピアノの音色が素晴らしくて
観てからずっとサントラを聴いてるんだけど
それだけで目が潤んできてしまう
リストにバッハもいいけれど
私はふたりにはラヴェルだなと思ったり

こんなに自分の感性に合う作品に出会えてしあわせだなぁ
書きたいことがたくさんあるけど
ひとつもうまく言葉にならない
でもこの感覚だけは忘れずにいたい
ずっと余韻に浸りたい


自分の名前が呼ばれるたびに
思い出すのは君のこと

エリオ、エリオ、エリオ
僕はオリヴァー
Aika

Aika