043/8.0
人物たちの主観や心の揺れ動きに寄り添うカメラワークが素晴らしい。
画の質感やイタリアの日光、ピアノの旋律、瀟洒なヴィラでの暮らし……諸々の要素の複合により、クラシカルで耽美的な世界が広がる。
表情で語る部分が多い作品。そのためアップショットが多用される。(主演の二人はそれに悠々と耐えられるマスクをしている。)
主演のティモシー・シャラメの、あまりにリアルな演技と、絶妙な設定も良かった。別に人並み以上にシャイなわけでも、女の子にまったく反応しないわけでもない。
続編が作られる可能性もあると聞いたが、本作の大きな美点は“人生に二度と訪れないひと夏の思い出”みたいなところだと思われるので、果たして期待できるものか、どうか。。
(ただ、『ビフォア・サンライズ』もそんな映画だったのに、シリーズ化に成功しているしなぁ。)
監督がまた撮りたくなるようなケミストリーが、スタッフとキャストの間に生まれていたということは確かに伝わってきた。