このレビューはネタバレを含みます
LGBTが叫ばれる昨今で、「性の多様性」について描かれた話は多くあると思う。これもその一つかと安直な予想をしつつ、映画館での上映があと少しで終わってしまうというので、大した期待も抱かず視聴した。
結果的にいうと予想は外れていて、この話はおそらく思春期の少年にありがちな心の移ろいや溢れ出る感情の洪水、そういったものを地中海の美しい風景とともに描き切ったものだった(と私は思った)。
途中の冗長な「生活」のシーン(特にエリオとオリヴァーの旅行のあたり)は観ている人がエリオに感情移入させるに十分過ぎるほどの時間で、そしてあの最後の父親との語り。誰しもが抱きつつ、その昔に置いてきてしまったものがあの2人の会話の中にはあったのではないだろうか。
ただ、自分の浅はかな予想から、2人が旅行に出るシーンでハッピーエンドかな?と頭をよぎったために、少し自分の中でダレてしまったのがもったいなかった。
あのイタリアの空気はきっと誰よりも自由で、何よりも淡い思い出を作るには十分過ぎるほど輝いていたと思う。
小さな映画館で観ることができて良かった。