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トゥルー・グリットのdesperadoiのレビュー・感想・評価

トゥルー・グリット(2010年製作の映画)
4.5
前半こそ会話シーン等の随所にコーエン兄弟らしいブラックユーモアが見られるものの、少女の復讐譚はいつものように二転三転することなく、余りのシンプルさに拍子抜けするほど。だがその素朴さ故にキャラクター達の交わす言葉・行動をじっくりと味わうことができ、心の奥深くまで響く作品となっている。
ロジャー・ディーキンスの撮影もまた美しい。僕は彼の撮るガラスや金属の硬質な輝きが好きなのだけれど、今作ではそれらと正反対の森や川、荒野といった自然の色調を抑えた映像にハッと息を飲んだ。加えてカーター・バーウェルの音楽もマティの旅を優しく見守るかのようなゆったりとどこか懐かしいメロディーを紡ぎ、古典的な風格を与えている。
Netflixで今年配信予定のコーエン兄弟の新作も西部劇らしいが、今度はどんなタッチで描くのか今から楽しみで仕方ない。
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