Yoshishun

君の膵臓をたべたいのYoshishunのネタバレレビュー・内容・結末

君の膵臓をたべたい(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

インパクト大のタイトルとは裏腹に、精一杯生きようとし続けた人気者の女子高生と、人の目から離れて地味な人生を送り続けた孤独な男子高生の可笑しくも、切ない友情を描いた青春映画。

観終わった直後の感想としては、意外と良かったという感じです。

少女漫画が原作と勘違いしてた自分が悪いですが、よくあるベタな恋愛ものと思い込んでいたせいで、後半の展開に驚きました。

本当の想いをひた隠しにしながら主人公を振り回すヒロインは『四月は君の嘘 』に出てくるかをりを想起させるものでして、小説の台詞をそのまま話してる、いわば文学的な言葉をつらつらと話続ける姿も瓜二つ、更にはラストの手紙のシーンも類似、色々似てるところが。違うとしたら主人公に暴力を振るわない点だけでしょうかw

とは言うものの、決して酷い作品とも言い難いです。他の方の感想にもあった通り、最初はヒロインのキャラにイラっとするはず。現実にこんな奴がいたら殴り倒してます。

ただそのイライラさせられる性格も理由があってこそのもの。数々の言動に隠された彼女の本当の気持ちに共感してしまうとあとはハマるだけ。賛否両論となった大きな理由は、彼女の性格によるものだと思います。

本作の1番のポイントは、この作品で描かれる高校時代がほんの数ヶ月だということ。限られた時間のなかでどう楽しく生きるか、誰と一緒にいたいかを問いかけてくるストレートさ。たったひと"春"の青春を与えた少女の最後の願いが、まさしくタイトルにもなっている「君の膵臓をたべたい」。"食べる"じゃなくて"たべる"、物理的なものを意味しておらず、相手の心の中で行き続ける宗教的な意味合いを持たせている。

15年越しのメッセージは、たった一言でも言えること。15年間、主人公の春木は何をしていたのか?またかつてのクラスメイトである京子も何故あの瞬間に動き出したのか?
ご都合主義というか、元々原作には無かった時系列で展開される意味が今一つに感じた。
そして京子の桜良に対する気持ちも中途半端かつ説明不足なので、クライマックスでの涙も正直感動するには至らず。
単に高校時代のエピソードだけでも十分成り立ったように思えた。

しかし、若手俳優陣のベテランをも食う演技力、ベタすぎないストーリー、衝撃の展開も豊富で、意外と飽きさせない構成だから凄い。昨年度日本アカデミーで作品賞にノミネートされていたのが不思議でならなかったが、闘病もの、もしくは青春もので一括りにできない物語に共感した人が多かったのではないでしょうか。

意外な掘り出し物でした。
観て良かった。


春が来て、桜が咲いた。
桜が散り、やがて夏が来る。
himawariが咲く季節。

主題歌も素晴らしかったです。
Yoshishun

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