Foufou

満月の夜のFoufouのレビュー・感想・評価

満月の夜(1984年製作の映画)
4.0
ああ、こういう女、いるわ! というのが率直な感想です。まぁ、女でも男でも、お友達に一人や二人いるでしょ、こういう人。一人になりたいとかいうわりに、解放された途端、時間を持て余して方々に電話をかける。ちょっとの時間も予定で埋まらないと不安で不安でたまらなくなる人。ひょっとして、あなたが、そう?

不倫どころじゃありません。不倫相手のみならず、第三第四の愛人に気を持たせる女の子が主人公ですからね。これこそ観客の年齢を問うかもしれません。これを観て憤慨するなら、あなたはほんとうに若い。青春のとば口にいるようなもの。バツの悪い思いをするなら、まぁ、あなたは若いは若いけど、ちょっと身を固めることを考えてしまうお年頃。いやはや……と笑いながら変な汗かいてる人は、絶賛不倫中ですな(笑)。これを純粋な喜劇として観ることのできる御仁は、それこそどんな映画も冷静に観ることのできる、達観した紳士淑女であります。まぁ、当の私は……。

色々ツッコミながら観るのがこの映画の正しい鑑賞作法という気がいたします。Banlieue(郊外)とParis の対比を、いわゆる「ヤリ部屋」のありなしでしれーっと語るところがロメールならではなんで、関西人でもないのに思わず「素敵やん!」と言いたくもなります。しかも別宅を欲するのが女子、というのがなんとも……。

あ、男でも女でも、「一人になる時間が欲しい」とか言い始めたら、浮気心を疑いましょう。まぁ、大概、もっともらしい言い訳にこそ嘘はあるもんなんで。
Foufou

Foufou