キッチー

笑う故郷のキッチーのレビュー・感想・評価

笑う故郷(2016年製作の映画)
3.6
ノーベル文学賞を受賞したアルゼンチン作家のダニエル・マントバーニ(オスカル・マルティネス)が、名誉市民の称号を贈るので来て欲しいという生まれ故郷サラスからの要請を受け、一時帰郷する話。

スペイン、バルセロナの豪邸に暮らすダニエルがアルゼンチンのサラスという田舎町に帰るというのは単なる気まぐれなのかもしれないが、迎える人々の感情が様々で可笑しかった。
ダニエル自身もいつもの皮肉屋な性格を隠して、終始笑顔なんですが、周りも形だけの敬意だったり、友情だったり、本音を隠していましたよね。しかし、段々化けの皮が剥がれるというか、本性がでてくるところ、面白いです。

この町の人たちは、もともとダニエルの成功を手放しで喜んではいないんですよね。町を出て、町の人々を笑い者にしたような作品を書くような人物ですから。
アルゼンチンがスペインの植民地だったことは、映画観てから知りましたが、サラスの人々がスペインで成功しているダニエルのことを良く思わないのも無理はないのかもしれません。

故郷を訪問した後、ダニエルは昔からの知り合いや好意的に近づいてくる人たちとの交流もあり、いい滞在になるようにも見えますが、実は落とし穴が何個もあり、自らの行動で徐々に追い詰められていく...

秘められた感情も怖いけど、剥き出しの感情で向かってくるのも怖いですね。とにかく主人公も含め登場人物の感情の描き方は凄いと思いました。
しかし、主人公は転んでもただでは起きない性格でした。

監督もキャストも知らないので、あまり期待値上げずに観たので、面白かったです。これ、ブラックユーモアな感じの話でしたが、ジャンルはコメディなんですかね。話の割りに明るい音楽が耳に付く映画でした。
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