砂利川権兵衛

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版の砂利川権兵衛のレビュー・感想・評価

4.0
完璧に計算された画面に惚れ惚れ。「映画」のお手本として教本に載せたいレベルのルック。音楽の使い方も非常に好みで、「少年の焦燥」というテーマとあわせて相米の『台風クラブ』を思い出したりした。黒沢清はエドワード・ヤンからメチャクチャ影響を受けたと語っているけど、エドワード・ヤンは(黒沢がかつて助監督を勤めた)相米慎二から何かしらの影響を受けていたりするのだろうか? 私、気になります。

クライマックスで訪れる大破局の哀しみ痛み苦しみを極点に光と陰に彩られた60年代台湾の若者の青春を見事に描き切ってみせた本作は、同時に、すべての時代・国で通用するであろう普遍性を獲得したのではないだろうか。あまりに豊穣で奇跡的な四時間弱の「映画」という名の小旅行に震えを覚えた。