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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のbennoのレビュー・感想・評価

5.0
ようやく観ました…236分…。

恐るべきエドワード・ヤン監督…素晴らしい映像作家です!! 時間が許せば何度でも観たい…。

今作は実際に起きた事件に監督自身がインスパイアされたという作品…。

1960年代初頭の台北…高校の昼間部の受験に失敗し、夜間部に通う小四(シャオスー)…。彼は不良グループ"小公園"の少年らと徒党を組む日々…。

ある日、彼は怪我をした小明(シャオミン)という少女と出会います…彼女は小公園のボス、"ハニー"の彼女…ハニーは対立する"217"というグループと揉め、姿を消していました…。

小明に淡い恋心を寄せる小四…そんな時ハニーが突然戻って来ます…そしてそれをキッカケにグループ同士の対立も激化し、小四も巻き込まれることに…。


光と影…明暗のコントラスト…場面や物語の説明を排除し、映像で語る演出が緊張感を解くことなく惹きつけます…OPも暗闇を照らす電球の光…。

また、特徴的でもあるロングショットの長回し…広い世界の中に放り込まれた人間のその中での小さな世界を覗き見します…。

中国本土から移り住んだ人々は"外省人"、元々台湾にいた人々は"本省人"と呼ばれ、微妙な格差構造も見えてきます。

閉鎖的で排他的な空気に疲弊する外省人の大人たちの不安が、子供達にも伝播し、暴力的な行動に駆り立てるのです…暴力の象徴として日本刀…拳銃…。そして夜中に市街地を走る戦車は混沌とした社会を映し出します…。

また、日本の植民地としての名残のような日本家屋…そこでの家族を映し出す画は小津の世界を彷彿とさせます…。


心に残る素敵なシーンは沢山ありますが…

✧︎ 小四と小明が映画撮影スタジオに忍び込んだ後…遠くで実弾を使った軍隊の演出が行われる中、原っぱで語り合うシーン…小四の死んだふりが子供らしくて、可愛らしく素敵…。

✧︎ "小公園かき氷の店"で♬ Frankie Avalon “Why” の女性パートやプレスリーの曲を歌う"小猫王"(リトル・プレスリー)…なんと美しいボーイ・ソプラノ!! 見た目からのあまりのギャップに2度見しちゃいました!!

✧︎ ハニーのことで沈んでいる小明を追いかけて…「僕が守ってあげる」と告白する小四…ブラスバンドが演奏する賑やかな廊下で大声で伝える彼の切実で誠実な言葉が心に響きます…。

✧︎ そして小四と小明がいい感じになっていく中、戻って来たハニー…戻って来ないで〰︎と思いましたが、このキャラがなんとも魅力的!! マリンスタイルという妙な風貌ですが…何故か惹かれてしまいます…。

ラストは…フッ〰︎とため息…自然と涙が溢れます…。



thanks to ; レネリーさ〰︎ん 𖡼.𖤣𖥧𖡼.𖤣𖥧𓋼𓍊︎☺︎

thanks to ; JTK 師匠 𖡼.𖤣𖥧𖡼.𖤣𖥧𓋼𓍊︎☺︎
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