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ポエトリーエンジェルの8bitのレビュー・感想・評価

ポエトリーエンジェル(2017年製作の映画)
3.4
主演のふたりがいい。
メジャー映画のような飾り立てたキラキラ感じゃなくて、自然体の清々しさ。
〝詩のボクシング〟という、肉体ではなく、自らの内面から湧き上がってくる言葉で勝負する競技を通して、それぞれが変わってゆく。
日々をなんとなく過ごすニートの青年が競技に魅せられて、自分自身を見つめ直す。
吃音のコンプレックスから、周囲に対して心を閉ざしていた少女が競技と出会い、少しずつ心を開いてゆく。

ただ、肝心の〝詩のボクシング〟というものがどうにもよくわからないんですよね。
それが一体どういうものなのかを説明されるシーンで東京03の奴が大袈裟にギャーギャーわめくので、ちょっと嫌になっちゃったんです。
その後の初試合のシーンでも、この競技の何が面白いのか全然わからなくて、正直この辺で観るのやめようかと思ったくらいで。
そもそも明確な勝敗基準がよくわからない。審査員も相手校の関係者ばかりだったし。
やたら芝居がかった大袈裟なアクションで絶叫するというのが〝詩のボクシング〟なんでしょうか。
なんだか〝言葉〟よりも〝パフォーマンス〟重視に見えちゃった。
だからこそ、一切のギミックなしで〝普通に〟詩を朗読した下條アトムさんがとても印象的で、ずっと聞いていたい心地よさがありました。
上手すぎて素人のお爺ちゃんには見えなかったけどね笑

あとやっぱりヒロインの武田玲奈ちゃんが本当に良かった。
彼女のストーリーは断片的かつ駆け足気味なので、描き込みが足りない気もしますが、それを演技でカバーしています。
ほとんどセリフのない役でも、表情や眼で感情を表現できてるわけですから。
特に溜めに溜めた感情が彼女自身の言葉で綴られるクライマックスは胸を撃たれます。、
東京03の一連のウザいシーンをカットし、彼女の心情の移り変わりをもっと丁寧に描いた方が良かったと思うし、いっそのこと彼女を主役にした方が良かったんじゃないかと。

天音くんのニート役は鉄板
ちなみに梅泥棒の犯人は山﨑賢人説を推したい。
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