komoriririri

羊の木のkomoririririのレビュー・感想・評価

羊の木(2018年製作の映画)
4.2
「羊達は殺されるのに逃げなかったの。私、一頭の子羊だけ抱えて必死に走ったわ」
ってジョディフォスターのセリフが浮かんだ。あの皿。

わたし、物心つく頃から死ぬことが怖くて、わざと怖い映画見たり、錦戸の後輩みたいに殺人事件ググって色々知ったフリしてたけど、
本当は死なんて日常に腐るほど落ちてて、マズイ減塩みそ汁や、落ちてるゴミ、自分に向けられたカメラ、人のすすり泣く声、震えるカミソリ、ストレスぶつけるようなギターの弾き方とか、すべてに孤独を感じてたまらなかった。
みんな死を前提に生きている哀しさ。
だから優香が出てくるシーン、エロくて可愛くて救われた。優香も美日子も文乃も玉恵も母性があったから。
過疎化する町も人も死からは逃げれないけど、今のところ宗教しか頼れるものはないので、のろろさまがいるこの町はとても健全な気がしたよ。

後半、松田龍平が喋りすぎ!なのがちょっとだったけど
明かりの灯らない田舎道って、真っ暗過ぎて本当に死んだ気持ちになる。
夜道にいる知らん車や人はたいてい誘拐犯か露出狂だったし、キラキラの東京に来てからは忘れてしまってた。
あんた他人だよ、知らないよ。って気持ちがふつふつ集まると、死はやってくる。
あの原風景がずっしりと背中に張りついた映画
komoriririri

komoriririri