せれん

ムーンライトのせれんのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.0
刺さって刺さって刺さりまくった。

とっても生々しかった。
この作品は多くは語らない。
きっと、観た人の思想や生き方でだいぶ見え方が変わってくる作品なのではないだろうか。


ちょっと捻くれてるかもしれませんが、、

彼が「ゲイ」であるという前提で考える人が多いということに驚いた。
劇中で彼が「ゲイ」であると宣言したシーンは一つもない。
確かに彼はゲイなのかもしれない、ただ彼はそのことについて言及していただろうか?


ある種、この社会の固定観念がそう言う思考にさせているのかもしれないのかもしれない。

真の意味で、性的マイノリティの人たちが生きやすくなるのは、「権利」や「理解」などと言う外面だけのものではなく、そういった固定観念のようなものが中和され完全に溶け込んだ社会なのだろうと思う。

劇中では、殴られた後に「力になりたい」、「理解したい」という言葉が、その言葉はどんどん聞こえなくなっていくシーンがあった。
実際、「私は理解があります」などと言う薄っぺらい言葉を近年耳にする機会が増えたが、その言葉にはなんの救いもなく、それこそ当事者の耳には全く届かない。

確かに、昔に比べれば性的マイノリティの方々が生きやすい社会なったのかもしれないが、最近の社会の風潮には「拒絶→中和」ではなく、「拒絶→隔離」に見えて仕方がない。

本当の意味で、この社会が中和されていく日が来ることを祈ります。


2024/21作目
せれん

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