Ayakashd

ムーンライトのAyakashdのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.9
なんでもっと早く観なかったんだろ。いままで観たどのマイアミの海とも違う、仄暗い夜半の海、蒼白い月の光。寡黙で、そこにあるだけの静かな、それでいて豊穣な海。波の冷たさまで感じられるようだった。

そして、アフリカ系の人たちの美しさが崇高に感じられる映画だった。月の光を吸い込む、柔らかく昏く青い肌。息を呑んだ。美しい人たちだ。とただただ打たれた。なんて寡黙で美しいやり方なんだろう。彼らのアイデンティティ…醜いと揶揄され馬鹿にされデフォルメされてきた彼らの姿を「月明かりのもとで青く輝く」と表現するその崇高さ。Black is beautiful の現代版だなー。美しい。そのことの意義が、日本でももう少し理解されるといいな。

語りは遅いけど、30年を感じさせる映画としてこんなにも語りが少なくそれでいて、すべてを感じさせる映画、観たことない。ビールストリートの恋人たちに通じるものを感じる。こんなふうに静かに人を説得する力…どんなに言葉を積み重ねても、到達できない語り。

アフリカ系コミュニティ、特に南部では敬虔なキリスト教徒が多いから、アフリカ系でかつゲイっていうのは本当にマイノリティもマイノリティ。少年院に入ったあと、生き方を変えようとしたシャロンの、最後の邂逅が沁みた。最後の邂逅が、孤独の重さと冷たさを、際立たせていた。いやぁ。

しかし最近、オスカーに対して斜に構えすぎてたかも。シェイプオブウォーターといい、この作品といい、ずいぶん、オスカーも変化している。わたしはいいことだと思う。

マハーシャラ・アリはあの登場量でオスカーとは。静かでいて濃密な存在。いやー。感じ入る。