Angeprunelle

ムーンライトのAngeprunelleのネタバレレビュー・内容・結末

ムーンライト(2016年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

真のTough Guyは月のように静かで美しい。

唯一の幸福を
唯一の人に汚され
この上ない悲しみに打ちひしがれても 
決して折れない曲がらない。

雲に隠れる事はあるけれど
形が変わったように見えることもあるけど
彼はいつでも控えめで大らかで優しい月だった。

あらゆることをちゃんと受け止め
ちゃんと傷つきちゃんと悲しみ
そしてちゃんと赦す。
たった一人で静かにね。

そこにちゃんと存在しているのに
誰もその美しさにその優しさに
その愛に気付かない。

美しいものはいつも照らす方で
照らされることはほとんどない。

こんな主張しない愛を強さと言わずして
何を強さと言うのか。

触れてくれた喜び
受け入れてくれた幸福感
それを想像するだけで胸がハチ切れそう。

涙が止まらない。

誰にだってムーンライトは必要なんだ。
照らす方も照らされる方も
美しく光り輝くそんな感動的な瞬間が。

美しいものの上に胡座をかいて生きる私達は
その主張しない愛になかなか気付けない。

でももし気付ける瞬間がきたならその時は
謝ったり愛でたり抱きしめたり
美味しい料理をご馳走したり
自分の心でお返しをしなくちゃなと思う。

シャロンだけじゃなく彼の周りにいるみんなにだって
それぞれの事情があって自分の置かれた環境に
それなりに悩んだり苦しんだり悲しんだりして生きてる。
そんな騒がしい心と共に生きている私達は
美しい行いばかり出来る訳じゃない。
過ちも犯すし人を傷つけたりもする。

だからこそ、時々月を見つめなきゃと思う。
静かな心で。
Angeprunelle

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