なやら

昼顔のなやらのネタバレレビュー・内容・結末

昼顔(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

予告編の上戸彩がいい感じだったので軽い気持ちで観に行ってみたら、予想外に面白かった。しっかりと演出が入っており、集中して画面を観るに耐え得る出来。とくに、視線を効果的に使って語ろうとする意識が高い感じ。
シンポジウムでのやり取りはちょっとしつこい気がしてあまり乗れずにいたが、その後、初めて上戸ー斎藤工が互いを認め合う沢辺の
シーンが非常によい。上戸は先にホタルを探す斎藤の姿を見つけているのだが、決して声は掛けず、手にした石を投げて気付かせようともせず、斎藤を見つめたまま、自分に目を合わせてくれるまでじっと待ち続けている。斎藤がそんな上戸の姿を認め、ついに視線を交わすその瞬間……この二人のそれまでのストーリーを全く知らないのに、思わず感動してしまった。互いから一切目を離さず話す二人を横一直線、引き画フィックスのみで捉えるカメラの潔さも好ましい。
一方で、斎藤ー伊藤歩夫婦の視線は決して直接交わる事がない。斎藤は一方的に見られるのみ。窓ガラスに映りこんだ伊藤の視線は完全にホラーで非対称(終盤の松葉杖ルックは黒沢清の某作を想起させる異様さ)。上戸ー伊藤間においても、切り返しショットの反復とか、「見るー見られる」の関係の反転とか、視線関連の見所が多い印象。けっこうスリリング。
事故シーンはちょっと見せ方が雑(アレってサイドブレーキ引いちゃえば良くない?)になってる気がしたが、遺体となってしまった斎藤とは「決して目を合わせない」事故後の上戸の姿にグッと持ってかれるのでまあオッケー。
そしてラストの踏切シーン、ここサイコー!踏切のランプと蛍の発光をオーバーラップさせてきてエモいなーと思っていたら、マリッジリングのエメラルドまで繋げてこようとは……泣けた。
上戸彩は期待以上によかった。想像以上にちゃんとエロいし(あの簡素な服装であんなにエロいのはエラい!)一方で自転車2ケツシーンなんかは超爽やかで。不倫劇にふさわしい二面性が表現出来てたと思う。ガリガリなのも丁度幸薄い感が出てて◎。鶴本直がここまで来たかーって感じ。
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