anzu

女神の見えざる手のanzuのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.5
脚本、演出、キャスト素晴らしい映画
ラストまでハラハラのサスペンス
はじめに観た時、何故かモヤっとしました。

もう一度観て、モヤの正体が分かりました。
それは、主人公に感情移入出来ないこと。
悪い意味じゃないくて、あえて感情移入させないように製作している気がしました。

この映画に、無駄な台詞やシーンは一切ありません。
だから、製作側が意図してるのかと感じます。

性別が逆ならトムクルーズ法廷劇的に、主人公がヒーローになるのかしらとも考えてみましたが、それは映画の伝えたいメッセージではない気がします。

目的の為に手段を選ばないという信念が主人公にはあって、正しいとか間違ってるとかは関係ない。
アメリカの銃問題というセンシティブなテーマの中、映画の中盤で主人公の部下を救う分かりやすいヒーローが登場してくるのですが、それが主人公と対称的な存在なのかもしれません。目的の為に手段を選ばないのは同じであるのに、主人公とは真逆の扱いになります。

主人公の信念を貫く姿勢や手法は素晴らしいけど、共感することは難しい。
主人公の部下だったエズメの心境に一番共感できました。「そこまでする!?」
単なるどんでん返し映画じゃない、モヤっと胸に残る映画です。
私は、そういう映画の方が好きです。

本国での評価がいまいちなのも分かります。男性社会の中で活躍する女性のフェミニズムを否定しているように捉える事もできる構成になってます。私はそこに、強いフェミニズムを感じました。

主人公を演じたジェシカ・チャステインの演技は素晴らしいです。
anzu

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