Shelby

女神の見えざる手のShelbyのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.6
やられた。まんまとハメられた。単純な性格が功を奏したのか、物語の結末に鳥肌がたってしまった。
静かにそれは進められていたのだ。決して見えない水面下で、彼女は事を進めていた。爽快さ余って呆然とさせる社会派サスペンス。久々に動悸が高まる映画を見た気がする。

ロビイストとは、特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う役割を果たす者のこと、だそうな。日本では馴染みがないこの根回しの役割を果たす人々のことを、今作で初めて知った。

〝ロビー活動とは、予見すること。敵の動きを予測し、対策を考えること。
勝者は敵の1歩先を読んで計画し敵が切り札を使った際、自分の札を出す。
自分が突かれてはいけない。〟

繰り返し出てくるこの言葉、最初こそ意味がわからなかったが、最後にエリザベスの口から発するこのワードは鳥肌モノ。
銃規制法案というタイムリーな話題を取り上げ、更に今まで見た映画の中でもダントツで頭のキレる冷酷非道で排他的なエリザベスの女性像。色んな意味で責めの姿勢を貫く映画だと個人的には感じられた。

強かに、そして勝利のためなら一切の情を挟むことなくこなしていくエリザベス。美しい容貌の裏に潜む狂気にも似た勝利への異様なまでの執着。その背景は一切語られない。作中、エリザベスが語る、個人的感情がないと人は動かないのかという場面。
内的動機付けに伴わなければ人は行動に移しづらい。個人的にはエリザベスの過去に何かあった線の方が濃厚な気がする。

序盤の専門用語続出をなんとかクリアできれば後は身を委ねて観てもらいたい。想像以上に惹き込まれ、いつの間にやら映画を見終えていること間違いなし。
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