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女神の見えざる手のmasatanのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.5
「レントゲンには2時間かかるけど、ライフルを買うのに5分もかからない」この国は、やはり興味深い。


この映画では、銃規制法案を可決させるように奔走するロビイストが主役の作品です。
日本ではロビー活動が禁止されていますので身近な存在ではありませんが、アメリカでは2万人のロビイストが活躍してるそうです。

授業でアメリカ政治について勉強しました。例えば、銃がなくならない理由。
世間では、銃は自衛になるという考えがアメリカに浸透しているからなくならないとか言われていますが、本当は全米ライフル協会NRAから共和党、民主党の政治家に政治献金がされているからと習いました。
どんなに悲惨な銃に関する事件が起きて、銃規制の声が上がっても、政治はこのような状態なので何も変わりません。
建国当初から民主主義であるこの国でさえこの有り様です。政治でも正しいことは正しいと言える世界にならなくてはならない。ただ正義は1つじゃない。それが政治の面白いところ。

法律を作ったり、変えたり、政治の世界では駆け引きが重要であることがこの映画からは良く分かります。それにちょっと違和感を感じるけど、政治家にだってそれぞれに信じていることとか正しいこととか正義とか違うから、そうなってしまう。そこで活きてくるのが民主主義のはずなのに、お金が絡むと全てがダメになる。
ここで面白いのは主人公のロビイストが全くお金に執着がないんですね。ギャラじゃなくて、自分の正義とか勝利のためだけに、どんな手段も選ばない人なのです。
そんな相手だから、政治家と張り合うしかない。考えが全く合わない。そういう人をお互いに打ち負かそうとする方法は物理的に制圧するか、相手の弱点を世間に露呈すること。姑息なやり方だけど、これが一番効果的かもしれない。
絶対主義が一般的だった時代に民主主義を最初に考えた人はここまで考えただろうか。
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