サンヨンイチ

女神の見えざる手のサンヨンイチのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
3.6
銃規制法案を巡る
ロビイストたちの攻防。
天才的な知略と非情な采配で
常に勝利をものにしてきたスローンは
銃規制に反対する大手ロビー会社から、
銃規制を支持する小さな会社へ。
真っ黒に染まった盤上のオセロを
一つ一つ覆していくスローン。

勝つことへの欲望が抑えられない。
命が削られようと、負けることは許されない。
他人を省みない彼女の言動は
周囲を蝕み疲弊させていく。
それでも結果だけが着実に積み上げられていったが
あまりに身勝手な行動はついに
ある事件を誘発してしまう。


非情な戦い様に
見ているこちら凡人としては
心がヒリヒリしてしまいます。
特に、あるディベートでの
捲し立てるような告白。
“切り札”として盤上に祭り上げられる側は
溜まったもんじゃない。
悲劇のヒロインを巧みに利用する
自分本位なやり方は
『ナイトクローラー』すら思い出します。

ジェシカチャスティンの起用もぴったりで、
エミリーブラントでもなく、
ケイトブランシェットでもなく、
他の人には感じられない凛々しさ溢れるかっこよさがあります。

なかなか終盤の展開には訴求できない歯がゆさのある映画ですが、
鉄仮面と言われたくなってしまう作品です。