突出した才能が周囲や自分さえも破壊していく。
ダンスシーンは圧倒的に美しく、物語は切なくて激しい。
Youtubeのダンスを大きいスクリーンで観れて良かった。
子供を成功させたいと家族バラバラになりながら働いて、
子供は重圧の中、成功させて家族を一つに戻すと戦って、
結局は両親離婚。
そりゃ辛いよなあ。
モチベーションは失っても才能が休むことを許さなくて、最年少プリンシパルで一気にスターダムへ。
バレエの知識は無いけれど他の子と混じって踊る練習風景でも明らかに突出した動き。ターンの練習でも隣の子はなんか呆然として辞めちゃうくらい。舞台に上がれば舞台袖にみんな集合してうっとりして観てる。
感情が動きに100%宿ってるというか、バレエの見方が分からなくてもおおっと拍手したくなる動き。美しい。
彷徨って逃げ出しても才能は一向に鈍らない。
どこの場所でもひとたび踊れば周りは騒然。
米軍用の鎮静剤やエナジードリンクを舞台上で飲みながら荒い息を吐いてる控室の様子がバレエのすさまじさを語る。
肉体や精神を飛び越えて才能が暴れてるような。本人でさえそれをコントロールできない。これが天才なんだろうなあ。
引退を決意して踊った映像も、もう凄すぎ。
明るい窓の外に出れずにもがくという振付も泣ける。
息子のために全てを犠牲にしたのに、離婚してしまったが故に息子から許されない母。
不満を漏らさないが遠くで一人暮らしてる父。
孫のためにと高齢で介護の仕事をしていた祖母。
周囲の人たちのドラマも多くは語られないが感じる。
初めて通ったダンス教室の先生も良い味だった。
まだまだ若いし現在進行形の物語。
ドイツでの師匠が若いうちしか身体は動かない。だから引退はもったいないと語ってたのも染みた。
どんなに才能があってもいつか肉体がリンクしなくなる。
その時にまた新しい苦悩と戦うんだろうな。
ダンサーって儚いなあ。