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少女暴行事件 赤い靴のSexyBeastTanakaのレビュー・感想・評価

少女暴行事件 赤い靴(1983年製作の映画)
4.0
いつの時代にも「ここではないどこかへ」という願いがある。この作品はその欲望が濃厚な80年代の雰囲気の中で顕現したような作品だ。東京と茨城、都市と田舎、その2つに居場所のようなものを持ちながらも、どこかにもっと幸せになれる場所があるのではないか?と自問自答し続ける主人公の切実な視線が胸に痛い。80年代のどこか甘美で怠惰な雰囲気も、その切なさに拍車をかける。爽やかで鮮やかな色彩をまとう土手、黄昏が空を包む時に広がる橙色の川面……題名やあらすじから予想はできるが、唐突なまでに残酷な終結には、その少女たちの都市をめぐる孤独の切実さも相まって、心を震わされた。「ミスタ・グッドバーを探して」もそうだが、自分はシャブロルの「気のいい女たち」を思い出した。ジャンルの暴力的な横断はロマンポルノの強みと再認識。
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