さよなら種田

武曲 MUKOKUのさよなら種田のレビュー・感想・評価

武曲 MUKOKU(2017年製作の映画)
3.3
もっと男を感じそうなテーマなのに
演じる役者が美しすぎて…


綾野剛が村上虹郎に剣の才を見出し
鍛えまくってついには対決するという
内容なのかと思っていたら全然違った。

ヒップホップのボーカルで常にリリックを
作る事に夢中な羽田融が剣道と出会い、意外に才能があり強い相手に挑むお話でした。


まず何と言っても村上虹郎の美しさ。
土下座して涙を浮かべながら謝るシーンは
類を見ないほどの美しさ。
役に入り込む印象よりも自然体で役を演じているかのような軽やかさを感じる。

対する綾野剛も"演技をしている"と思うシーンが
1秒もないほど役に入り込む。
終盤にかなりヨダレが垂れるシーンがあるが
アドリブというなら素晴らしい。
今作は彼の演技無しでは完成し得ないであろう。
また最後の最後に1シーンだけ見せる肉体美。
酒に溺れていた役の体じゃない。


剣道についてはあまり詳しくないが
彼ら2人の剣道をしている姿は本物にしか見えない。

中盤にて1対1のシーンがあるが
雨が途中で止んだり、光の演出であったり
漫画らしさを感じてしまったので
せっかくの生々しい2人の姿がぼけてしまった。


脚本は前半が虹郎編、後半が綾野剛編という風に視点が変わるようになっている。

死にかけた過去があり、生きた実感を得るために
剣道にも殺し合いを求める羽田融。
そして、自分を認めず毎日のようにシゴかれてきた父親を怨み
ついに木刀で植物状態にした過去を持つ研吾。
この2人が出会い物語が展開するように
なっているが
思ったよりも2人の関わりが薄く
絡みが少ないと感じる。


最後の解決してからの父親からの手紙などが
ストーリーを少しありきたりに
しているような印象がある。


全体的に言えば脚本には特に魅力を感じないのだが
剣道シーン、演出の巧さなどで
かなり観やすい作品になっている。

綾野剛、村上虹郎好きにはおススメの一本。
さよなら種田

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